【スポーツを読む】第27回 富永啓生、大柴壮平『楽しまないと もったいない』ダブドリ(2024年)

バスケットボールが好きだ。小学1年から高校3年までプレーし、現在も大学のバスケットボールサークルに所属している。そのうえ富永啓生に強い憧れを抱いている。同じポイントガード兼シューティングガードで、3ポイントシュートが得意な私が、超ロングシュートを意味するロゴスリーを代名詞にする富永を目指すのは必然だ。だから本書を手に取った。
特に印象に残ったのは「全てのシュートは入ると思って打っている」という言葉である。富永は米ネブラスカ大時代に、強豪パデュー大との試合で放ったシュートが全米で注目された。試合終了まで20秒、3点を追う状況で3ポイントを決めた。ディフェンスに張り付かれながらシュートを打ち切り、1万4千人を超える観客を熱狂させた。結果的にチームは再延長戦で敗れたものの、自分を信じて打ち切る姿勢に強さが表れていた。
強さというものを考えるとき、自分のバスケ人生を振り返らざるを得ない。小学4年生の時に初めて「バスケをやめたい」と思い、練習へ行くたびに体調が悪くなった。最初は周囲も心配してくれていたが、次第に「またか」という雰囲気になり、私にもそれがはっきりと分かった。
ただ、始めたときに母から言われた「やると決めたからにはやめてはいけない」という言葉がずっと頭の中にあり、やめることができなかった。そうするうちに小学校でキャプテンになり、中学、高校でもキャプテンを務めることになった。結果的に自分が先頭に立つことの大切さを学ぶことができた。やめられない弱さが、続ける強さに転じた。今振り返ると、あの時やめなかったことが、私の原点になっている。
私とは比べものにならないレベルでプレーしている富永には、いったいどのような苦労があって、どのような努力を重ねたのだろうか。自分の武器を信じて挑戦し続ける姿は、生き方として非常に共感できる。
バスケットボールを通して学んだことは、これからの人生でも必ず活かされると思う。富永啓生の挑戦はまだ続いている。どのような道に進んでも、私もまた、自分の人生というコートで、自分らしいシュートを打ち続けていきたい。
(江戸川大学マスコミ学科、鈴木幸来)





