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【スポーツを読む】第25回 渡邊雄太『心 NBAで運命を切り拓いた本当に大切な想い』ミライカナイ(2025年)

 


「Never too high Never too low(決して高すぎず、決して低すぎず)」。これは米プロバスケットボールNBAで活躍した日本人選手、渡邊雄太がアメリカでの挑戦の中で大切にしてきた言葉である。本書『心』は、渡邊がNBAで過ごした6シーズンを振り返りながら、成功だけでなく苦労や挫折、そしてそれらを乗り越えるために大切にしてきた考え方について語った一冊である。

渡邊は日本人としてNBAでプレーするという大きな夢を実現した。しかし、その道は決して順調ではなかった。下部のGリーグで共に戦っていた仲間が先にNBA契約を勝ち取る姿を見て悔しい思いをしたこともあった。実力不足を感じ、自信を失いそうになることもあった。それでも周囲と自分を比較して落ち込むのではなく、自分にできることを一つひとつ積み重ねることを大切にし、努力を続けた。その姿勢が最終的にNBAでの活躍につながったのだと感じた。

 本書には「心が人生を変える」という考え方が書かれている。コロナ禍でチームメイトが練習をやめていっても、「心を鬼にして」練習を続けたことなどが紹介されている。また、八村塁(レーカーズ)という存在が身近にいたからこそ、努力を続けることができたという話も印象的だった。成功を生むのは技術や才能だけでないと、あらためて理解できた。

 私は大学でバスケットボール部に所属している。高校の先生に言われた「人間力なくして、競技力向上なし」という言葉が今でも心に残っている。これは日本オリンピック委員会(JOC)が選手強化のスローガンとして掲げている言葉だ。スポーツでは技術や体力はもちろん重要だが、それだけでは良い選手にはなれない。仲間への思いやりや礼儀、責任感、苦しい状況でも努力を続ける姿勢など、人としての成長が必ず競技力にも表れる。

私も試合に出られなかった時期には、練習をしても意味があるのかと考えてしまうことがあった。渡邊のように結果が出なくても努力を続ける姿勢は、自分に足りない。「Never too high Never too low」という言葉には、良い結果が出ても浮かれず、悪い結果が出ても落ち込みすぎず、自分を見失わない強さが込められている。読んで、結果ばかりを気にするのではなく、毎日の積み重ねを大切にしようと思った。

(江戸川大学マスコミ学科、齊藤拓真)

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