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【スポーツを読む】第22回 荒磯寛『我が相撲道に一片の悔いなし 稀勢の里自伝』ベースボールマガジン社(2019年)

 著者の荒磯寛は茨城県牛久市出身の元大相撲力士、第72代横綱の稀勢の里である。17年間の土俵生活を終えて現在は親方として力士を指導している。

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 本書には少年時代から現役引退までの思いが描かれている。敗戦の悔しさを糧に稽古に打ち込み、怪我など幾度なく立ちはだかる壁を乗り越える様が、大相撲の世界の厳しさを伝える。

 私は父親のテレビ観戦をきっかけに6歳の時に大相撲を知った。最初は相撲に興味がなかった。ただ父親と遊ぶため、大相撲中継が終わるまで一緒に見ながら待つしかなかった。そのような日が続くうちに当時最強の横綱だった朝青龍を応援するようになった。そして父との遊びも相撲になった。

 朝青龍の引退後に番付を上げていったのが稀勢の里だった。稀勢の里が19年ぶりに日本出身の横綱となったというニュースに、父も大変喜んでいた。稀勢の里が私と同じ茨城県出身だということもあり、親近感と誇らしさを感じて自然と応援するようになった。

 

 著者が相撲人生で学んだことが三つあるという。一つ目は何事にもまずは一生懸命やってみるということ。子供の頃、たまたま出会った相撲をすきになり、それを生涯の仕事として選ぶことが出来たという。二つ目は、逃げないという気持ち。思うようにいかないことを克服するからこそ、達成感がある。三つ目は、周りで支えてくれている人たちへの感謝の気持ち。黙々とひたすらに一生懸命やっていたら、必ず見てくれている人はいるという。

 どれも当たり前のように大事だと言われていることで、それをあえて掲げるところが、愚直に突き進んだ稀勢の里らしい。

三つ全て大事なのだが、私は三つ目の周りへの感謝の気持ちを一番意識している。感謝の気持ちを伝えるのが恥ずかしいと言う人が多い。だが、思っているだけでは相手に伝わらない。感謝の気持ちは言葉と行動で示したい。


(江戸川大学マスコミ学科、大内郁人)

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