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執筆者の写真流山ラグビークラブ

【ラグビーを読む】第6回 廣瀬敏朗『ラグビー知的観戦のすすめ』角川新書(2019年発行)

 タイトルにある「知的観戦」とは、深い知識を持つ人の観戦という意味ではありません。ラグビーのことを全く知らない人でも楽しく観戦できるという意味です。ポジション、ルール、世界各国のラグビーの特色、日本で行われたワールドカップなどについて、日本代表の主将を務めた著者が説明しています。

そして何より著者がラグビーを好きな理由がつづられています。

 一流選手であり、ユーモアたっぷりな著者のならでは視点が、ポジションについて書かれた第1章から生きています。例えばウイングです。チーム一の俊足が務め、アタックを仕上げるフィニッシャーと呼ばれる目立つポジションなので「アイドルにするならウイング」。

フルバックは守備の最後の砦でもあるから、この人が後ろにいてくれればという安心感を持たせてくれるキャラクターが多いといいます。「何かあったときに助けてもらうならフルバック」。観戦歴のない読者にも感覚的に分かるように書かれています。

 10のポジションがあるラグビーは適材適所で役割を分担して戦うスポーツです。1チーム15人、計30人の選手がフィールドに立つので、そこは個性のぶつかり合いです。足の速い選手、身長が高い選手、パスが上手な選手などがかみ合ったとき、チームは躍進します。この多様性がラグビーの面白さだと思います。

 私はラグビーのルールついて、前にパスをしていてはいけない、相手陣地にボールを置く、蹴ってゴールに入れるといった漠然としたことしか知りませんでした。この本を読んでラグビーを知るにつれ、「試合を見たい」という思いが強まりました。誰もがそういう気持ちになる本だと思います。

(江戸川大学マスコミ学科、野澤成康)

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