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執筆者の写真流山ラグビークラブ

【ラグビーを読む】第11回村上晃一『ラグビーが教えてくれること』あかね書房(2018年)





 ラグビーのルールブックの冒頭には「ラグビー憲章」が記されている。それだけ大事だからだ。品位、情熱、結束、規律、尊重の五つの言葉が体現するものを、ラグビージャーナリストの村上晃一がそれぞれの言葉とマッチするエピソードを絡めながら紹介する。ラグビーというスポーツがいかに素晴らしいか、なぜ素晴らしいかを「ラグビー憲章」を通じて少年少女に教えてくれるのが、本書である。

 「ラグビー憲章」はプレーヤー、レフリー、観客を含むラグビーを取り巻く全ての人に関係するし、そのどれもが競技だけでなく日常生活にも影響する。規律に関する例として本書で語られている東海大大阪仰星高校ラグビー部の湯浅大智監督の話は特に印象的だった。

 湯浅監督は、普段の生活とラグビーをつなげることを大切にしている。規律正しさは部活動に限らない。ラグビーのために勉強を疎かにしては意味がない。

 「勉強することで、様々な物の見方を学び、言葉の数を増やすことができます。それが、仲間にどんな声をかければ良いか、どんな接し方をすれば良いかを考えることに役立ちます。例えば、理科の実験は、予想をして、実験し、確認します。これはスポーツの練習でも同じことです」と勉強がいかにラグビーに役立つかを強調する。

 チームワークとは、仲間を信じて助け合ってプレーすることだ。一人でも規律を守っていないと破綻してしまう。日常生活から信頼し合えるからこそチームワークが発揮されるのである。湯浅監督が「規律とは、ルールを守ることだけではなく、人間力を高めること」と考える理由はそこにある。

 ラグビーの試合を観ると胸が熱くなるのは、憲章が示す人間力を感じるからだろうか。「ラグビー憲章」はラグビーの素晴らしさの根幹なのだ。


(江戸川大学マスコミ学科、勝村和弥)


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