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日本に生きる「ノーサイド」、マオリ伝統のハカ ~各国に根付くラグビー文化~

 ラグビーを観戦する皆さんには、ラグビーにしかない文化を楽しんでいただきたいといつも思っています。今回はノーサイドという言葉と、試合前に披露する伝統の舞ハカについて書きます。ともに英国からラグビーを輸入した国で大切にされている文化です。


 NO SIDE(ノーサイド)は、ラグビー発祥の地イングランドを起源とする言葉で、試合終了を指します。試合が終われば自陣と敵陣のサイドはなくなり、勝った側(SIDE)も負けた側(SIDE)もない(NO)という意味です。

 スポーツ局の専門用語辞書によると「試合終了を指すのにかつて使われていた古い言葉」とのこと。本場英国では現在、試合終了時にFULL TIME(フルタイム)という言葉を使っています。つまりノーサイドは古い時代に日本へ輸入され、今なお日本でだけ生き続けている言葉なのです。

 英国ではノーサイドという言葉が使われなくなっても、試合後にお互いを称え、交流する文化は残っています。これが紳士のスポーツと呼ばれているラグビーの象徴です。2019年のワールドカップ日本大会でも、日本に敗れたアイルランドやスコットランドが勝者を称える姿が記憶に残っています。

 ハカはニュージーランドの先住民マオリ族の伝統的な踊りです。ラグビーのニュージーランド代表オールブラックスが舞う勇壮な姿により、世界的に知られるようになりました。相手を威嚇するために足を踏みならし、体を叩き、舌を突き出して、独特のリズムに合わせて踊ります。踊りながら歌う歌詞は、先祖の系統や部族の歴史をモチーフにしたものが多いです。

 現代マオリの暮らしの中にもハカは息づいており、お祝い事や客人を歓迎する儀式など、社会的に重要な場面で敬意を表するために披露されています。ラグビー場での舞もその一環で、士気を高めると同時に、試合へのリスペクトの意味があります。

 各国に普及したラグビーは、英国以上に古い伝統を残していたり、土着の文化と融合したりしてそれぞれのラグビーを形作っています。これこそグローバルスポーツの魅力といえます。


(江戸川大学マスコミ学科、山本 龍太)



Terminology of the game of Rugby Union


「畏敬に満ちたハカに迫る」



(写真:活動のはじめと終わりに”ノーサイド”の精神を子どもたちに伝える流山GREAT HAWKS。『子どもたちひとりひとりがラグビー文化の担い手です。』)

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